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コメディの世界ではタイミングが全てだ、とよく言われる。電子書籍の売上が3倍近くまで伸びると見込まれる中、オンライン書店Amazonの電子書籍市場シェアは2015年までに35%に急落するという金融アナリストの予測を読んだとしても、Amazonはきっと笑わないだろう。なぜかって? たった一言で言えば、Apple iPadのおかげだ。
クレディ・スイスのアナリスト、スペンサー・ワン氏は、iPadの登場により、アマゾンの電子書籍市場シェアは2009年の90%から2015年には35%にまで低下し、半分以下に落ち込むと予測している。電子書籍市場におけるアマゾンのシェアが縮小する一方で、電子書籍の売上高は爆発的に増加し、昨年の2億4800万ドルから2015年には7億7500万ドルに達すると予想されている。この需要の急増は、マクミリオン社、ハーパーコリンズ社、アシェット社といった大手出版社がiPadの普及を機に、アマゾンに電子書籍の定額価格9.99ドルを値下げさせようとしていることも追い風となるだろう。
ワン氏は、アマゾンの北米における書籍販売全体は、昨年の19%から5年後には28%に成長する可能性があると述べているものの、シアトルに拠点を置く同社は音楽やビデオといった他の分野でも事業を拡大する必要がある。ただ一つ問題なのは、あの厄介なAppleがまた現れたことだ。「Appleが音楽分野で圧倒的な地位を占め、ビデオのデジタル配信分野が競争が激しいことを考えると、デジタル販売を拡大する方法を見つけることはより困難になる可能性がある」と、同アナリストは述べている。
アマゾンを中立と評価しているワン氏は、投資家に対し「アマゾンのメディア事業のデジタル移行リスクは重大だ」と警告し、同社に対する熱意を抑えた。
[バロンズ]